正直、よく分からない話だった。
てっきり妻である美しい女の正体は老婆の鬼で、桜の木の下という不気味な妖気溜まりみたいな場所で山賊の男は意図せず真実を見てしまった、というオチだと思っていたから、殺してしまったのが本当に美しい女その人で、しかも桜の花びらに変わって……まあそこまでなら桜に化かされたんだなと納得がいくんだけど、男まで桜の花びらになってしまってうん?と首を傾げてしまった。
美しい女は自分以外の妻を殺せと山賊の男に命令したり、さまざまな首が欲しいと少女みたいにねだったり、最初からどう考えても異常な人なんだけど、そうなると山賊の男に攫われる前の夫とはどんな夫婦生活を送っていたのかという部分が謎。
というか首で遊ぶくだりが残虐過ぎて、ここまで書くのだから何か先の展開に繋がるのだろうな、頼むから繋がってほしいな、と読みながら願っていた。でも軽く検索したかぎりそこは別に重要な場面ではなかったみたいで、どちらかというと山賊の男が女によって美しさというものを正しく理解したり、時の流れや移り変わりを認識したことの方が大切らしかった。その解説を読んで、自分なりにもう少し考えてみた。
本作はおそらく、物事をそれほど深く考えていなかった山賊の男が新しい妻となった美しい女の感性を通じて人間社会のさまざまを思考するようになり、そのせいで今までなら何とも思っていなかったことにストレスを感じてしまい、精神が追い詰められておかしくなってしまった、という話なんじゃないだろうか。分からんけど。
満開の桜のせいで狂ったというより、満開の桜の咲く春という季節がまた巡ってきたことにパニックになったんじゃないかな?と。
それにしたって美しい女がそもそも根本的におかしいからなあ。単純におかしい人が近くにいたせいで自分もだんだん狂って、でもあまりに女が美しいから自分にとって良くないと分かっていても近くに置いておきたくて……みたいな感じで山賊の男が完全に狂う話なのかも。
やっぱりよく分からないし、もうよく分からないままでいいや。感想終わり。
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